womb
---------------------------
臓器をとられるために生み出されたいのち。
痛覚と子宮がない。下腹部に子宮摘出線がくっきりと残っている。お腹を縫われた自分の体をぬいぐるみの体だと思っている。足に"I'll give you my all."の焼き印がある。右目は「おもちゃの瞳」であるため全く見えていない。距離感が掴みにくいのか、よく物にぶつかったり転んで怪我をしている。
恥ずかしがりやで人見知りだけれど、とても心の優しい女の子。メルヘンなものやことが好き。夢見がちなようでいて核心を突くことが多く、自分なりの見方で世界を捉えようとしている。死が身近な環境で生活していたこともあって、意外と肝が据わっている。自分の意見ははっきり伝える。
献身的で、誰かのお役に立てることが何よりも嬉しい。嬉しいことをおともだちと共有することが好きで、おやつを誰かと半分こしたがる。
物腰の柔らかいお兄さんと、お胸の大きいお姉さんがタイプなようでよく懐く。特に親しくなると相手をちゃん付けで呼ぶようになる。
きらきらしたものが大好き。人からの貰い物や思い出の品を「カルテ」として大切に持っている。
---------------------------
ルフ
テテルペテルクルフゥ、通称ルフ。テテル(男の子)、ペテル(女の子)、クルフゥ(部屋)という意味のカバネの造語らしい。
イルカといろんないきものが継ぎ合わされたようなぬいぐるみで、カバネにしか会話ができないおともだち。性別はない。
カバネに対して過保護で、女性に対しては紳士的、男性に対しては基本とても攻撃的。口が悪いようで、よくカバネに窘められている。
お腹の中にみんなから収集したカルテやお菓子、絆創膏などが詰まっているため少し重たい。
---------------------------
【出自と名付けの少女】
物心がつく前からラボにいた。
父親も母親も最初から存在していない。死体や非道な行いを見慣れてしまっているから、カバネはあまり怖いと思うことがない。ただ職員の都合で生かされたり殺されたりする臓器の入れ物だった。
カバネ、という名前は後からラボに来た女の子に名付けてもらった。
彼女は体が弱く中々外に出ることが叶わなかったようで、花の咲く庭でさえずる小鳥を自由の象徴として見ていたらしい。だから、お花と羽には自由の意味が込められている。いつか一緒に外の世界を見ようね。そんな思いを込めて。屍、という言葉と響きが被ることは知らなかった。
光の加減で色がころころ変わる、宝石のように美しい瞳をもった女の子。カバネにとって生きる希望になってくれた人。彼女は主要な臓器以外を取り尽くされると人体実験に回され、最後には痛覚を残されたまま体が溶けて亡くなってしまった。人が溶けるところをみたことがあるから、初めていちごジャムを見た時に溶けた人間を食べているのだと思って困惑していた。
ルフは彼女の遺品。
【いちごの飴】
ラボに来た彼女は持っていたいちご味の飴を半分こして分けてくれた。彼女にとってはなんてことのない行いだったかもしれないそれは、カバネにとってはじめて触れた人の優しさだった。だからカバネにとっていちごの飴は愛のあかし。半分こは愛を分け与える行為。
【痛覚がないこと】
麻酔もなしに腹を裂かれ子宮をとられた。一生分の痛みを経験したから、その見返りに神様が痛覚をなくしてくれたのかもしれない。自分の分の痛みは終わったのだから、この天から与えられた体で、他人の痛みを肩代わりしてあげたかった。ある種の使命のようなものを負っているのだとカバネは考えている。
実験についても、捧げた臓器によって、得られた結果によって救われる人がいると考えれば、それでカバネは納得している。
【赤ちゃん】
自分にはない子宮という器官が子供を育てるための場所であることは認識しているので、赤ちゃんは女の人のお腹の中で育つ、という知識はある。
昔よくわからない金属の棒を膣に突っ込まれたことがあり、職員さんが「検品」と呼んでいたそれが赤ちゃんを作る行為と何か関係しているのかなと思っている。
---------------------------
【エスについて】
彼女の傷口はうねうねと動く。
傷口を移動させるだけでなく大きな傷を小分けにして治りを早めることや、逆に小さな傷を合わせて傷口を大きくしたりすることも出来る。本人の性格から他人に害をなすために使用されることはなく、主に治療の用途で使われている。
自分は痛みを感じないからと他人の傷を引き受けようとすることがよくある。
---------------------------
【関係性】
彼の性別についてはルフと同じようにないものだとしてごく自然に受け入れている。
使命の重さについてはカバネも理解しているから、他人が何を言ってもユミの決心を変えることはできないのかもしれない、と思う。それでも人を殴ればユミの方も傷つくのだ。大事な友達が傷つくところをカバネはもう見たくないから、どうか自分を傷つけるようなことはしないでほしいと願っている。
頑張り屋のお兄さん。ウツラが疲れている時に、その疲れを吸い取るようにぎゅってしてあげる。
ウツラが歩く度に刺されるような痛みを感じていることを、まるで王子様を求めて陸に上がった人魚姫みたいできれいだと思いつつも心配している。その傷を引き受けてあげたいけれど、それを言うと断られるのでちょっともどかしい。傷を見つけるとルフの中から可愛い絆創膏を分けてあげる。
カバネの右目のいちごの義眼はウツラが作ってくれたものであり、彼から収集したカルテでもある。
何も感じないから心臓が別の場所にあると思ってしまう感覚や、それに負い目を感じてしまう感覚が、カバネにはよくわかる。自分も痛覚を失ったことに特別な意味を見出そうとしているから。
声を掛けると怖いことを言われるけれど、カバネは全く意に介していない。仕様のない人ね、くらいに思っている。
タイトは家族によって呪いにかけられてしまっていて、誰かがそれを言い当てることができればきっと呪いが解けると信じている。その誰かに自分がなってあげたい。
カリン:
強くてやさしくてお胸の大きい、大好きなお姉さん。カバネのタイプ。
ひらひら舞う花弁と羽のように軽やかに揺れる可愛らしいお洋服で、カバネに外の世界を見せてくれた人。カバネにとっての自由の象徴。憧れの人。
カリンといると何だって大丈夫な気がして、彼女の本当の魔法はそこにあると思っている。
体は強いけれど繊細なところがあって、それでも人を頼ることは苦手みたいだから、カバネがカリンちゃんをお守りするのだと固く誓っている。
物腰が柔らかくて、いつだってカバネの世界観を尊重してくれる、大好きなお兄さん。カバネのタイプ。
波長が合うのか、一緒にいてとても安心する相手。ライムとお話をするのが好きで、姿を見かけると嬉しそうに駆け寄る。その日あった嬉しいことをライムと共有するのが日課。ライムから魔法少女のお話を聞くのも好き。
歳が近いこともあって大の仲良し。物知りでカバネの知らない外のことをたくさん教えてくれるので、お話するのが楽しい。ルフもウガツのことはそこそこに認めているらしい。
よく彼と一緒に行動していて、初対面の人が相手だとまずはウガツの後ろに隠れるようにして様子を見る。
ウガツが自分以外のみんなに強く当たりがちだけれど、素直になれないだけで本当は施設のみんなのことが大好きだということを見抜いていて、フォローしたり、行き過ぎだと感じた時には窘めたりしている。
カバネにとびきり優しいお兄さん。
自分を助けてくれた女の子と同じ瞳をしているので、人を食べたことがあるという話を聞いても、その一点だけで彼が自分に危害を与えることはないと信じ切っている。
一緒に遊ぶことが多くて、スダクの家族構成をもとにおままごとをする。スダクがママ、カバネがお兄ちゃん、ルフが妹。家族というものがよくわからないカバネにとってはとても刺激的な遊びなのだそう。
おままごとの影響でルフはスダクのことをママだと思っていて、でも確かに男の子の体をしているから混乱しているらしい。
---------------------------
「ゆぅ…ぶつかっちゃった、ごめんなさい」
「あまり汚い言葉を使っちゃだめよ、めっ」
「怖いの?ならカバネがあなたの代わりになってあげる」
「それでも知りたいよ、本当を隠したまますべてを知った気になるだなんて、そんなの変だもの」
「愛のためにこの身を捧げることがこの世で一番綺麗なことだと思っているのよ、だからカバネもそうやって終わりたいの」
『汚らわしい男どもが、ボクのカバネちゃんに近寄るなよ、しっしっ』
『どうか泣かないで、お嬢さん』
『ボクのママじゃん…』
花羽(カバネ)