womb
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楽園を求めている男の子。うさぎの亡霊に憑かれている。
いつも胡散臭い笑みを浮かべていて掴みどころがない。成績優秀、表面上はとてもフレンドリー。
口が上手く言葉巧みに人をコントロールしようとする。息をするように嘘を吐き、言っていることがコロコロ変わるのでどれが本心なのか見分けることは非常に困難。
倫理観が欠如している。人格が破綻していてデリカシーもないので無神経に他人を責め立てたり、煽ったり、地雷を踏みにいく。気に入った人間ほど虐めたくなってしまうサディスト。退屈なのが嫌いらしい。
他人が自分と同じように生きているという感覚が希薄。幼少の頃にお前には心臓がない、と言われたのが腑に落ちたようで、自分には心臓がないと思い込んでいる。血圧計ではエラーが出る。
強姦殺人の罪で刑死した父親と瓜二つの見た目で生まれてきてしまい、父親と同じ名前をつけられ、母親の便器として生きてきた。
「そうあるべき」だと思っているので、残虐な行いを進んで行うような素振りを見せる。
母親の正当性を証明するため、できる限り惨めな方法で、父親と同じ二十歳で死ぬのが夢。
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【母親】
自分なら産まなかったので母親に畏敬の念を抱いている。レイプってなに、と幼稚園の先生に話したことで母親が白い目で見られるようになったことを理解してから、他人に自分の事情について話すことをやめた。
成績がよくないだとか、父親がしそうにない振る舞いをしたりだとか、とにかくなにか母親の気に障るようなことがあると癇癪を起こすものだから、彼女の顔色を窺いつつ上手に役を演じる必要があった。それでも嘘を吐ききれないところを誤魔化すために何でもした。だからタイトは、傍からだと何でもできるような人間に見える。
脅迫されて母親と性交をしたことがある。父親のような非道な行いを強要された。母親の膣にナイフを挿入させられた時におかあさんが死んでしまうかもしれないと泣きながら、えも言われぬ充足感に満たされたことを覚えている。幼ながらに生まれつきの罪人であることを理解した。
母親の生理用品の処理をする度に、経血を口に含まされる度に、女性の体に嫌悪感や恐怖心を抱くようになった。乳房を目玉みたいで恐ろしいと感じている。
【父親】
楽しいことが好きで退屈なことが嫌いな連続強姦殺人犯。拉致した女性を裸にして並べ、犯し、気まぐれに撃ち殺し、その痕にたばこを突っ込んで灰皿にするなどしたという。
まだ少女だったタイトの母親は反抗的な目が気に入られたようで、友人を自分の手で殺めさせられ、精液を塗られたパンを与えられ、恥辱の限りを尽くされながらも一人だけ生かされた。
この男は嬉々として死を受け入れたとタイトは聞いている。きっとそれじゃあ母親の中で納得がいっていなくて、だから自分が惨めに命乞いをして、それでも許されずに無惨な死を迎えて、母が望む通りの結末を迎えさせてあげなきゃあまりにも救われない。そのためにこの男にそっくりの姿で生まれたのだから。
【食事】
母親の作るご飯がおいしくなかった。特にクリームシチューがひどくて、だからといって捨てることもできなくてこっそり洗って食べていた。パンケーキから洗剤の味がする。お弁当という言葉の響きに良い印象を持てない。
タイトにとって食事は特に気を張らなければならない時間で、その緊張感からか、誰かと食事をすることが苦手。
【うさぎの亡霊】
学校のうさぎ小屋が彼の居場所だった。
声帯のないうさぎを、本当の気持ちを表に出せない自分自身を嬲るような気持ちでストレスのはけ口にしていた。うさぎの体をずたずたに割いた。内臓を舐めた。犯した。殺した子うさぎの死骸を親うさぎに食べさせた。そうして殺したうさぎの亡霊が、彼には憑いているのだと本人はそう思っている。
タイトは亡霊の正体を死んだときに放たれた脳信号のようななにかだと思っており、死に場所に近づくことでそれを受信してしまう可能性があって、だから自殺の名所などは本当に危ないんじゃないかと考えている。
【楽園】
心臓を置き忘れてきた場所。人か、建物か、それ以外の何かかは問わず、ただ守られていると感じることのできる子宮の役割を果たしてくれる場所をタイトは求めている。
子宮のような場所というだけで、実際に子宮があってしまうと何か間違いが起きてしまうかもしれなくて怖いので、むしろ子宮はない方が都合が良いらしい。
人殺しの子供でも普通の人と同じ体の仕組みで動いているということを確認して安堵したい。
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【エス】
ものの仕組みを変えてしまう。
仕組みをよく知っているものならばたとえ生物でも物のように扱うことができる。うさぎを爆弾にすることだって。
本人は組み立てるよりも解剖や解体に興味があるので、エスも構築するより壊す方に偏っている。仕組みをよく知らなくても、機械であれば過電流などで壊すことができる。
この症状で科学室から薬品をくすねて、母親と自分の間にけして子供ができないように膣を焼き潰した。
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【関係性】
自分のことを正しく嫌ってくれるので安心感がある。
真面目すぎるところを損しているなと思っている。他人が本当に存在しているのかなんて証明しようがないのだから、全部フィクションだと思えばいいのに。母親という他人のために生きている自分が言えたことではないかもしれないけれど。
暴力で物事を解決しようとするユミをけして止めない。それどころか、彼が望むならいくらでも他人を虐げるための武器を渡してあげる。法では裁けないものもあると思うから。たとえば自分とか。
ウツラの纏う雰囲気から、この人も嘘を吐かないと生きていられなかったんだなと察している。
彼の勘の鋭いところを警戒している。嫌いじゃないけれど、自分のことをどうにかしてくれようとするところがダメ。
たとえ母親が死んだところで一生囚われて苦しみ続けるしかないことがわかっているから、母親のためだけじゃない、自分のためにも死を望んでいる。20歳で死ねることだけを支えに生きてきたのに、それを奪われるんじゃないかと気が気でない。でも、ここはあまりにも変な奴らばかりだから。もしかしたらその歪んだ願望を全面的に否定はされないんじゃないかって、期待して、ふと全てを白状してしまいそうな自分に嫌気が差している。
普段は仲が良いけれど本当は敵同士の魔法少女とヴィラン、といった感じのロールプレイをしている気分。騙しやすくてリアクションが大きいので揶揄って遊ぶのが楽しい。
自分のことをいじわるだけどいい人だ、と本気で思っているところからして絶望的に人を見る目がないんだなと思いつつ、そういうところもまた気に入っている。
本当に深刻な時には自分が止めに入るから、どうかずっとこのまま、ばかみたいなお人好しでいてほしい。
皆のいる前ではそんな素振りは見せないけれど嫌いで堪らない。二人きりになると真顔で嫌味を言ったり侮蔑の目を向けたりする。常に聖人のような台詞を述べながら本当はそんなこと微塵も思っていないところが、狡猾でその気になれば一人でだって生きていけるくせに上手く立ち回って被害者ぶっているところがひどく気に食わない。つまらない人間。でも本当に興味がない相手には適当にいい顔をしておくタイプなので、その点でライムに執着しているといえる。
度々手が出そうになるものの、カリンとの楽しい関係に支障が出るのは嫌なので抑えている。ライムが困っていたらお前のためじゃないと言いつつ一応手は貸す。嫌だけど。
自分は幼女にも関係なく手を上げる人間だということを訴えているが、軽くあしらわれている。
肝の据わった女の人は苦手だ。逆らえないと感じて理性的な判断ができなくなる。いつか本当に手にかけてしまいそうで怖い。
残虐な行いの奥に隠れた自分の弱い部分を見透かそうとしているようで恐ろしい。繕ってきた仮面が剥がれて本当の自分がばれるということはタイトにとっては世界の終わりに等しかった。たとえ母親が見ていなかったとしても、タイトの中にある母親の目が自分を罰するのだ。
カバネが少しだけ自分の母親に似ているせいで、憎悪や拒絶、そういった母親には直にぶつけられないようなどろどろした感情を抱いている。タイトにとってカバネは対等な一人の人間として立ちはだかっている。
可愛げのないマセガキ。よく煽って遊んでいる。
彼を生かそうとする天使の亡霊に憑かれた哀れなこども。勝手に同情してかわいそうな目で見ている。
食べることや両親への嫌悪から何か親近感のようなものを覚えるのか、気まぐれに家族の話をすることがある。
キミが望むならその天使の亡霊たちをもう一度殺してあげる、と言ったら人でなしを見るような目を向けられた。楽しい。
タイトの思う楽園そのもの。心臓のありか。
抱きしめられたときに感じる彼の鼓動を覚えていることで自分の血が通っているのだと思っている。既にスダクと出会う前にどうやって生きていたのかがわからない。
お揃いのアクセサリーを身に着けたいという感覚で彼を性的に虐待したいという感情を抱いてしまっていて、そうなることを恐れている。それでもスダクなら本当に嫌なことは殺してでも止めてくれるだろうと思うので、その安心感から結局は彼を手放してあげられずにいる。
並々ならない生い立ちのスダクが自然に輪に溶け込めている状況に疑問も持っていて、おそらくスダクのエスによるものだろうと冷静に判断している。
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「あは、キミってば本当にかわいーね、わかりやすくて」
「えーん、オレのこと疑うなんて酷いよぉ…ま、嘘なんだけど」
「キミってなんか育ち悪そうな顔してるよね」
「人の幸せを壊す以上に楽しいことってある?」
「ふーん…やめた方がいいよ、そういう人のことわかったような素振り」
極楽 胎兎(ゴクラク タイト)